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連載第5回:ドキュメンタリー'ゼータガンダム Ver.Ka' VOL.3

連載 第5回

今月は成型色について開発担当者からのコメントを紹介しながら、本キットに継承されている可動ギミックやディテール、デザインについて紹介しよう!

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

MESSAGE:
BANDAI SPIRITS
ホビーディビジョン開発担当

成型色に関しては、締め切りぎりぎりまでパターン検討をカトキさんと繰り返していました。全部のカラーパターンを合わせたら20色を超えているかもしれません(笑)。通例、色の検討は金型が出来上がってきてからが本番なのですが、幸運なことにゼータガンダムは過去商品の金型がありましたので、原型を造形しながら並行で検討も進められました。特に検討を重ねたのは青色です。ゼータガンダムの青はその時流によってMG Ver.1.0のような濃い紺色だったり、HGUCのような水色だったり、解釈が異なっています。今回使用した青は「少しだけ緑色・シアン系」に寄せています。これは画稿の色味はもちろんですが、旧キットからのオマージュです。キットのシルエットだけでなく色からも、アニメ放映時を感じる、あの頃欲しかったゼータを目指しました。

ゼータガンダムのカラーリング

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

TV『機動戦士Ζガンダム』放映初期に発売された「模型情報」の表紙に準備稿のカラーリングでゼータガンダムが描かれていた。準備稿では腕の青が白で塗られており、RX-78−2ガンダムの配色に近かった

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

アニメでのカラー決定稿。白、青、赤、黄色のガンダムのイメージを受け継ぎながら、フライング・アーマーは黒が配色されている。RX-78-2ガンダムはスカイブルー、ガンダムMkーⅡは紺、ゼータガンダムは中間の青といったイメージ

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

劇場版『機動戦士Ζガンダム』ではオリジナルのフィルムと、新作画が混在するため、新作画では彩色後、オリジナルになじむようなエイジング処理がされていた

歴代キットと〈青〉の成型色を比較

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放映当時のアイテム3点は、緑が強めに入ったシアン系の青で成型されていた。アニメ設定の青よりも明るい色味の印象であった。MG Ver.1.0は紺に近い青で、Ver.2.0、HGUC、RGは1.0より明るく群青色に近い色味であった。MG Ver.Kaでは近年のアイテムと同じ明度を保ちつつ、少しシアンに寄せた青を選択している

MG Ver.Kaの塗装カラーガイド

ガンプラの組立説明書には、塗装のカラーガイドが記載されている。MG Ver.Kaでは本体、武装類、フィギュアに至るまでカトキ氏が色彩設計を担当している。完成品の塗装仕上げを担当する松本隆氏とカトキ氏が何度もやりとりをしながら調色を行い、配色のバランスを試しながら、製作している。成型色も完成品を参考に調整が行われ、カラーガイドもカトキ氏から提供されるレシピがベースとなっている

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MGνガンダムのカラーレシピ

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未塗装状態のテストショット。ツインカメラアイやセンサー類以外はシール、デカールは貼られていない。グレーや黄色のディテールまで成型色で再現されている

Ver.Ka20周年 ギミックとメカ表現の進化

過去Ver.Kaアイテムからのフィードバック

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

多層かつ多彩なメカ表現

多層構造:
MGシリーズは内部フレームを持つキットであるが、ボールVer.Kaでは3重構造を再現し、サザビーVer.Kaの内部メカディテールは、グレーとシルバーの成型色で多層構造を再現していた

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メカ色をサンドして多彩に表現:
ダブルゼータガンダムの翼(シールド)は航空機の構造を意識したデザインで、赤い外装はスリットやディテールの形状で抜かれ、中にサンドされたグレーのパーツが見える

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エクストラフィニッシュによる金属表現:
サザビーVer.Kaではシルバーのフレームにウェルドラインを抑える素材を採用していたが、ダブルゼータガンダムVer.Kaでは、エクストラフィニッシュをパーツの一部に採用。粒子が粗いため光の反射がメッキより抑えられ、落ち着いた感じの金属表現が得られた

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各スカートの裏側はディテールが彫られたパーツで裏打ちされている。開発画稿ではディテール案がカトキ氏により提案されている。フロントアーマーは白の外装、グレー、エクストラフィニッシュのパーツによる3層構造になっている

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胸部はブレードアンテナが4つ配置されるほかに、楕円形ディテールが追加されている。ブレードアンテナはエクストラフィニッシュの加工処理がされている

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ビーム・ライフルのディテール案。Eパックを装着すると見えなくなる部分にもディテールの指示が描き込まれている

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シールド裏のディテール案。内部のグレーパーツにテーパーを付ける指示のほか、台形の凹ディテールを追加している。断面の形状にも修正が加えられている

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ビーム・サーベルの収納ギミックを再現。カバーを展開すると内部ディテールもしっかりと造形されていることがわかる

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ブレードアンテナを配置して開発上の系譜を感じさせる:
MG Ver.Kaではνガンダムで初めて胸部にブレードアンテナが配置され、以降はアナハイム・エレクトロニクス社製ガンダムには共通で入れられている。ダブルゼータガンダムVer.Kaと今回のゼータガンダムVer.Kaはエクストラフィニッシュになっている

変形モデルに可動ギミックを盛り込んでいく

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グレネード・パックを前腕に装着し前へスライドすると、連動してカバーが開きグレネード弾が露出する。手首を下に曲げる細かな動作も可能だ

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変形ギミックと可動の両立を目指し、肩は白いブロックが上へ可動するだけでなく、外側へ開く。腕を振り上げたり、胸を張ったポーズにも対応できる

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肩と胴体の可動:
ダブルゼータガンダムVer.Kaは胴体内にコア・ファイターを内蔵しながら腰をひねるポーズを実現。アニメオープニングフィルムでの四肢を広げ、腰をひねったポーズを再現できた。ウイングガンダムゼロ(EW)Ver.Kaでは、劇中でのツインバスターライフルの両手撃ちシーンを再現するために肩や腹部に可動ギミックが盛り込まれた

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胸部が左右にスイングし、腹部は回転可動のほか前後に可動するギミックを内蔵している。胸部・腹部で計3ヵ所が可動する

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腰部は前傾可動と左右のスイング可動を内蔵している。胸部・腹部と合わせて5ヵ所の可動を盛り込むことで、劇中での自然なポーズに対応する

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連載第4回でも紹介したように、腰パーツとリアアーマーをクランク可動させて上に移動し、胴体に装着させるとロックがかかる

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股関節のディテール案。股関節は変形機構と強度を維持しながら、見映えも考慮してディテールが追加されている

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

上の2点の開発画稿では、〈脚部を短くしようとしたため高くなってしまった位置を下げる〉〈腕と手を収納するために長くなったフライング・アーマーを短くする〉〈サイドアーマーをもっとフライング・アーマーに近づける〉などの修正案が書かれている。脚部はヒザブロックを2段階で折り畳み、つま先を閉じることでコンパクトに変形。設定画に近いフォルムになった

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ロック機構:
ダブルゼータガンダムVer.KaのGフォートレスでは脚部左側のツメを展開して右側の穴に差し込み、バックパックの底面のツメを脚部に差し込むなど複数箇所にロック機構が内蔵されていた

MG 1/100 ZETA GUNDAM Ver.Ka

脚部の変形:
飛行形態への変形では人型を消す工夫がされており、つま先や関節の変形は常に進化している。小型で細身のデザインだと可動や変形機構を盛り込むスペースは限られており、可動を両立させるのも難しい

※掲載している開発画稿は準備稿です。実際の商品とは異なります。

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